アスペルガーのこだわりって?


「アスペルガーの人は、こだわりが強い」というけれど、こだわりって何?
マニアックってこと? こだわりってみんなありますよね?
なかなか、「こだわり」と言われても、ピンとこない方も多いのではないでしょうか?

ちょっと、勘違いしている方も多いようなので、今回は「こだわり」について話をします。

 まず前提として理解しておいて欲しいのは、こだわり方、こだわることに共通点はありません。
こだわり方やこだわることは、人それぞれで違います。
執着の仕方などには共通的なことも多いですが、何をどうこだわるかは人それぞれだということをまずはご理解ください。

ひとそれぞれに持ったこだわりの強さについて書かせていただきます。

一般的なこだわり

・車を少しでも早くしたい。
・漫画のグッズを全て欲しい。
・お気に入りのキャラクターグッズを集める。
・部屋はいつもきれいにしている。
・裸足で部屋を歩かない。
・Windowsは使わない。Macしか使わない。
・フライにはソース(醤油)派
・すべて洋服もインテリアもピンクで統一する。
・ビールは、アサヒスーパードライ
・お米は、魚沼産
・コーヒーは、スタバ
・魚は朝市で買う。

などなど、それぞれみんな多かれ少なかれこだわることたくさんありますよね?
ここまでは、アスペルガーとか関係なしに普通の話なので理解できると思います。

一般的なこだわりもアスペルガーになると Level.1

 アスペルガーのこだわりは、一般的なこだわりとレベルが違うので段階を追って説明いたします。
まずは、一般的なこだわりと同じようなこだわりもありますので、そこからお話いたします。
グッズ収集などのこだわりは、一般的な方はネットやショップで見つけて、欲しいものを購入いたします。
 しかし、アスペルガーのようにこだわりが強いと、値段や大きさに関係なく、それを手に入れずにはいられないのです。中には借金してでも手に入れようとしたり、ネットで高額に転売されている物にも手を出したりします。当然一般的な方でもそういうマニアックな方はおられます。
でも、アスペルガーのこだわりは、グッズ収集だけではなく、何百倍ものこだわりの数のうちのひとつなんです。

興味を持つと、周りが見えなくなってしまうのです。
友達が部屋に遊びに来たら、まず足を洗わせてスリッパインナーを履かせてから、スリッパを履かせる人もいたりします。

とんかつを食べようとした時にソースがないと激怒して、口をつけない人もいます。
大衆食堂で「ここはどこの米使っていますか?」と何処の高級料理店に来たのつもりなのかと驚く行動をとる人もいます。コーヒーはスタバなどでしか飲まず、缶コーヒーなんて絶対に飲まず、コンビニのコーヒーですら飲まない人もいます。ちなみに私的には、マクドナルドのコーヒーが一番好きなんですけれどね♪

ビールはキリンしか置いていない居酒屋には行かない人もいますね。決して、画像編集するわけでもないのにMacに執着する人、給料は安いのに車にお金をかける人もいます。

まあ、これくらいのこだわりであれば、想像もつきますよね?
アスペルガーと関係なく、マニアックな方はかなりいますから、珍しくもない話です。

こだわり Level.2

アスペルガーでなくても、こだわりを持っている人をLevel.1と位置付けると・・・
Level.2は、Level.1に加えてさらにこだわりが増えます。
一般の人は、ひとつふたつですが、アスペルガーになると全てと言っても過言でないくらいこだわりが多いのです。

・電車は一番後ろの車両の決まった場所
・駅の駐輪場は同じ場所
・iPhoneの新機種が出ると買い替える。
・モバイルバッテリーは常に満タンにして2個以上持つ
・充電ケーブルは5本以上持ち歩く
・家の各場所に充電器置く
・インスタントはいつも同じ物
・毎日同じ、ラーメンやカレー
・コップは絶対にグラス
・お米は、毎回炊く分だけ精米する。
・カレーを作る時は、玉ねぎを1時間炒める
・唐揚げなどの味付けは、時間をかけて染み込ませる。

Level.2になると、一般の人から見ると、「えっ?そこまでこだわる?」ってことまでこだわる内容になってきます。
LINEもメールも面倒だし、写真や動画もほとんど見ないのに、スマホだけは最新機種が欲しくなったりします。アスペルガーは、満足感を満たせないことに対する我慢が苦手な人も多く、そのストレスを解消することに執着します。スマホのバッテリーが50%以下になると気になって気になって仕方なくなる人もいて、常にモバイルバッテリーで充電しておかないと落ち着かない人もいます。

 ちなみに、私もスマホは会社のも入れると4台持っています。
メインは一つですが、android, iPhone2台,会社のiPhone 1台 会社のスマホだけでよくない?
って感じですが・・・・
AppleWatch に iPad proにもSIMを入れていますので、通信量だけでもかなりの額になります。

こだわり Level.3

Level.3になると、自分が納得するまで我慢できず、何時間でも何日でも没頭していきます。
また、妥協することを知らず、最高のものを探し求めます。

・海外で最新技術が発表されたら、調査、検証に没頭する。
・自分でパソコンを組み立てたり、車を改造して、自転車も高性能のブランド品に変える。
・文房具の使いやすさに妥協はしない。
・テレビは4K 音は高音質でないと気持ち悪い。
・肌着やTシャツや靴は生地の肌触りを究極に気にします。
・最高級調味料を手に入れたい。
・テレビで紹介されたスイーツなどは必ず注文する。
・車やバイクなど整備工場などが手に入れる、メンテナンスブックを取り寄せる。
・家電メーカーのホームページを常にチェックする。
・マスクはお気に入りの布マスク

 アスペルガーは、興味を持ったことを、そのままにできない人も多いのです。
私も、学生時代は英語なんてほとんど勉強なんてしませんでした。
しかし、今は海外のサイトでも見たりします。
バイクは私も好きで、大概お金を使いましたが、最近は自転車に興味が移り、7万円で買った自転車もフレーム以外は、全部パーツを変えています。多分、車体価格よりパーツや工具代の方が高いと思います。土日は100kmは走るので、1ヶ月に1000kmは走ります。
興味を持つと、時間や体力の限界なんてまったく気にならないのです。

 テレビを見ていて、天皇に献上されている味噌や世の中で注目されているスイーツなど予約して納期が1年後なんてのも注文したりします。
ちなみに、どんな有名な店でも並んで買うのはイライラするので100%並ぶことはありません。
でも、ネットなら忘れたころ送られてきますので、ただ何の番組で誰が紹介したのかなんて忘れていますが・・・・

 家電を買う時は、全て調べるので、結局最高スペックのものを買ってしまいます。
最近だと、もう息子も高校生に娘たちも中学生になろうとしているのに、4Kのビデオカメラを買ってしまいました。この先、何を撮るつもりなのか不明ですが・・・・・・

 音楽は100円均一のイヤホーンなんて使うくらいなら、聞かない方がまし、車やパソコンの標準スピーカーですら耳障りでしかありません。どんなにiPhoneのスマホのスピーカーがいいと言っても、所詮は小さなスピーカーで聞くに値しません。最低でも、iPad Pro 12.9のスピーカーなら、出張先で聞きますが、仕事用のノートパソコンも4Kでスピーカー性能にまでこだわります。

 肌着などは、グンゼなど昔ながらの老舗の肌触りの良い肌着を買います。
よれよれに伸びたり、黄ばんだシャツなんてのも嫌いなので大量に買います。
大量に買う理由には、出張も多いこと含まれています。

 下着だけでなく、文房具やパソコンのキーボードやマウスなどは、お気に入りを見つけたら製造中止になってもいいように、同じ製品の予備まで買います。中には、もっといいのが見つかって使われないままクローゼットに入っているものも少なくないです。

 今の時代、絶対に必要なマスク、私は音や光りに敏感なのですが肌触りにも敏感で絶対に紙マスクは合わないのです。1枚1000円程度のマスクを何十種類と買った中で、今はあるメーカーのマスクを10枚単位で買っています。
 もし、私と同じ敏感肌の方はおすすめです。めちゃめちゃ薄くてマスクとして機能しているの?ってくらい薄くて透き通っているくらいペラペラで装着感がないので、これなら長時間でも我慢できるんです。

まあ、ここまでは、自己満足の話なので、お金で解決できますので、そこまでまわりに迷惑をかけることもありません。

こだわり Level.4

 そして、ここらあたりから理解できないこだわりも加わっていきます。
調理方法や整理整頓やマシンの性能や、家電が好きな人は詳しく調べたり欲求が満たせず買ってしまうことはよくある話ですが・・・・

・横断歩道に人が止まっていたら車が止まらないといけないのが常識
・自転車は車道を走るもの
・高速道路の追越車線は、早い人が追い越す車線
・コロナ禍のなか、電車などでは会話を控える
・クレジットカード、電子マネーは使わない
・洋式トイレには座らない
・コロナワクチンは絶対に打たない

 アスペルガーは、ルールや法律を絶対的に思っている人も多いのです。
横断歩道を車が来ていても「人間様が優先だ」と堂々と車が近づいていても横断歩道を渡ったり、歩道を走っている自転車を怒鳴りつけたり、高速道路では追越車線をチンチラ走っている車を見つける煽り運転をしたり、クラクションを鳴らしたりと変な正義感を振りかざす人もいます。

 コロナ禍が始まったとき、どこかのパチンコ屋を批判してデモしていた本末転倒な人達なんかもいましたが、自分を正義と思い込んで行動してしまう人もいます。
マスクをしていない人に、片っ端から注意して殴られてニュースになったりすることもあります。電子マネーなど自分が理解できないものを一切信用しないなんてのもあります。絶対にスマホなんて使わないと未だガラケーという人もいます。

 アスペルガーかどうかわかりませんが、コロナワクチン接種の反対運動をしている弁護士のYoutubeを見ましたが、誰が予防接種もしていない弁護士に相談にいくんだ? と自分のこだわりを、周りにも強要しようと、自分の常識を押し通そうとしたりします。

 Macが優秀、Windowsが優秀とどうでもいいことで喧嘩を始めたりする人もいます。
以前に、北海道の人と大阪の人と鉄板焼きを一緒に食べたときに、ほうれん草の焼き方だけで殴り合いを始めたこともありました。

こだわり Level.5

そして、ここからが本番です。

・冷蔵庫の氷は絶対に切らさない。
・わさび・からし・生姜・唐辛子・山椒・岩塩・ネギ・胡麻・いりこだし・こんぶだし・本だし、
 しらだし・醤油・サラダ油・は絶対に切らさない。
・鶏もも肉と豚の細切れ肉は、2kg単位で買って、必ず冷凍庫に保管しておく
・卵、納豆は絶対に切らさない。
・フライパンは、24cm,26cm,28cmと用途に分けてそれぞれの大きさを用意しておく。
・野菜ジュースを作るための野菜とバナナとオレンジジュースも切らさない。
・トイレットペーパー・ティッシュ・石鹸・シャンプ・シェーバー・歯ブラシ・歯間ブラシは
 絶対に切らさない。
・鞄は少しで軽い物を購入する。
・古い鞄は使わない。
・靴は柔らかくて軽くて疲れない靴
・車のなかで物を食べない。
・食事は盛り付けにもこだわる。
・カレーの玉ねぎはしっかり狐色になるまで炒める。
・煮付けは、最後の仕上げで醤油を入れる。
・唐揚げは、塩唐揚げ。
・焼き魚、天ぷら、フライは揚げたて。
・魚はお気に入りの魚屋で新鮮な物を買う。

あげればキリがありません。
みなさんも、周りを見渡してみてください。
あまり気にしてないようで、いろいろ細かな感想を持っていたりしませんか?
お気に入りの形や色があるけれど、気にしていないところとかありませんか?
よく考えてみると、目の周りのものにいろいろな感想がありませんか?

 ボールペンやシャープペンシルなど書き易いと感じる時はあっても、なんでもいい感じの方も多いですよね?アスペルガーの人は、一度その感覚を覚えると、その感覚以上でないとストレスになったりします。ミネラルウォータでも味に拘ったり、缶コーヒーやジュースやお酒などもお気に入りのものしか買わない人もいます。
 私は、去年4Kパソコンを買ってから、一度高画質に触れるとパソコンのディスプレイは全て4Kに変更しています。
 歯ブラシ、歯磨き粉、シャンプーなどひとつとつに拘りがあります。
料理の仕方、食材、肌着、靴、パンツの締め具合、靴のフィット感、自転車やバイクや車の乗り心地、音楽の音、映像の綺麗さ、布団カバーやシーツときたらパジャマの着心地、枕の高さ、バックの肩紐の素材や太さ、パソコンのキーボード、マウス、電気の明るさ、椅子の硬さ、背もたれの形状、資料のフォント、文章の正確さなんかにこだわる人もいます。

 とにかく、「えっ?そんなことまで」というくらい拘りまくります。
朝食は7:00、昼食は12:00、夕食は19:00とその時間が狂うだけで不機嫌になったりします。
自分だけ拘るならいいのですが、家族にまで強要したりします。
昼食も作らずに12:00過ぎに帰ってきただけで、とんでもないことをしでかしたかのように怒ったりします。味噌汁が大好きな人は、味噌が切れていたことに、ご飯を作らなかったのと同じように怒ったりします。
 納豆やバターや醤油などを特売品を買いいつものメーカーと別の物を買って帰ると、アスペルガーにとっては、それはもう納豆やバターや醤油ではないのです。

 トイレットペッパーやティッシュなんて、違うメーカーを買って帰るとそれはそれは大変なことです。アスペルガーは、音や肌触りなど匂いや明るさなど敏感な人が多いため、普通の人には考えられないくらい反応いたします。
 私も、肌触りはとても重要視しています。匂いについては、女性の化粧の匂いが完全にダメで、電車やエレベータで化粧臭い人が近くにいるととてもストレスです。香水なんて絶対に我慢できません。ちなみに消臭スプレーなどの匂いもダメです。

世の中地雷だらけ

 よく、パートナーの方が「また、地雷を踏んでしまった」と言っていますが、ここまで書いたように、とにかく目に入る物ひとつひとつに拘りがあります。
すなわち、この世には地雷だらけで、地雷を踏まないなんて無理なのです。
 こうなると、勝手に自分だけ拘るようにしていくことが大切になっていきます。
どれだけ、くだらない?拘りを持っているのか、書き留めて本人に見せてみるのもいいかもしれません。「これだけの拘り誰がわかるの?」ってことを教えることは大切かもしれません。

 対等になんて考えていると、こだわり数の次元の違う人の拘りに付き合っていたら、本当に廃人となつてしまいます。料理に文句ばかり言う人には、作って貰えばいいのです。
買い物にうるさい人には、買い物に行って貰えばいいのです。なんでも理解して少しでも期待に応えようなんて努力は、アスペルガーにとっては数%の拘りを解決してくれているだけのことなんです。
付き合えることだけ付き合えば、無理なものまで付き合う必要はありません。
アスペルガーだって、なんでもかんでも満たされるなんて思っていませんし、満たされないことにも慣れています。でも、頑張って応えてもらうと、どんどん要求してしまうようになってしまうんです。

 そんな無駄な努力を続けていきますか?

 アスペルガーの私たち自身が、拘りを全て解決できないのはあたりまえで、その都度ストレスになって不機嫌になったりすることなんて日常茶飯事な出来事です。
自分自身で解決できないのに、夫婦とはいえ他人が解決できるはずもないのは、当然のことなんです。

 こだわりの多さと強さのため、多くの失敗をしていたことに気がついていない人も多いので、自分のこだわりについて考えるようになると大きく変わると思います。こだわりの優先順位など考えていくことが大きな成長へと変わっていくと思います。
とは言え、それができないのがアスペルガーということも忘れずに、気長に少しずつ共に考えていくことが大切だと思います。