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私が、よくメールに「私も失敗をよく繰り返す」と書くことがあります。
「アスペルガー症候群は失敗を繰り返す」という意味がよくわからないというメールをいただいたので今回は、アスペルガーの失敗について書きたいと思います。
まず、アスペルガーの失敗と言っても大きく二つの種類の失敗がある。
アスペルガーだからこその失敗
アスペルガーとして生きてきたがために、身についてしまった対応方法による失敗がある。
このふたつは他の人から見れば、一人のアスペルガーとしての同じ特性なのだがそこには大きな違いがある。
アスペルガーだから失敗すること
前者は、アスペルガーだから気を付けていても、対応が難しいことがあるということです。
俗にいう、「アスペルガーは治らない」って言われる特性のことです。
そもそも、アスペルガーというのは、拘りが強く視野を広げて物事を考えることがとても苦手な障害です。
そのため、会話も一方通行になりやすく、自分の思いついたことを深く考えずに口に出すことがあります。
例えば・・・・
今年の正月に私がした失敗は、息子が初詣の神社で「お年玉でチョコバナナを買っていい?」と聞いたので「高いし、勿体ないから帰って別の物に使った方がよくない?」と言ったのですが・・・・
発達障害の息子は、すでに買う気満々だったためカンシャクを起こしてしまいました。
そこには、人混みが多く「とにかく早く帰りたい」という私の気持ちも含まれていました。
カンシャクを起こした息子に、「じゃ~早く買ってこい」と言ったことがさらに、初詣の雰囲気を悪くしてしまいました。
当然、人混みの中、自分の感情をコントロールできない息子の発達障害のことまで気がまわりませんでした。
そもそも、私自身が気持ちをコントロールできていませんでした。
しかも、なかなか戻ってこない息子を「もう、お義母さんと帰ったんじゃないか!」と置いて帰ろうとまで思いました。
私も神社からの帰りは不機嫌でイライラを抑えながら? いや抑えきれていませんでした。
冷静に考えれば、初詣の時ぐらい、しかも自分がもらったお年玉で出店で「何か買いたい」という息子の気持ちを考える余裕はなかったし
自分の価値観で、「何百円も出してチョコバナナなんて・・・」という思い込みが先走ってしまいました。
そして、何より人混みにイライラしている自分を冷静に受け止めていませんでした。
今考えれば「早く帰りたい」という気持ちが自然と湧き出ていた気がします。
私のミッションとしては、初詣に行って、おみくじを引いた時点で終わっていたのです。
「せっかく来たんだから、初詣を楽しもう」とか・・・・
「子供たちを喜ばしてあげよう」と言った気持ちを持つことができませんでした。
私も、発達障害が発覚して3年になります。
いろいろな失敗を繰り返しながら今があります。
それでも・・・・やっぱり、人混みの中に入ったり、イベントの多い年末年始はとても苦手で失敗も増えてしまいがちです。
ちなみに、クリスマスでも失敗がありました。
それは、小学2年生の双子の娘たちが「お父さんがサンタさんなのでしょう」とずっと言ってきていて・・・
「どうしても欲しいおもちゃがあるの」と言ってきていたのですが・・・・
もちろん、「サンタさんはお父さんじゃないし、サンタさんを見つけるともうプレゼントこなくなるよ」と誤魔化していました。
そんなある日、娘たちが欲しがっている ベイブレードという今時の対戦型コマのおもちゃは対戦スタジアムを含めて品薄だということを知りました。
私の中で、「これは早く買ってあげないと買えない」という気持ちが先走って・・・娘たちとその商品についていろいろ聞いたり調べものをしていました。
そして、ついにamazonで見つけたのでつい「お母さん注文していい?」と聞いてしまったのが妻のゲキリンに触れ怒られてしまいました。
ただ、やっと見つけた残り1つに、ついつい「早く買わないと・・・・」という思いだけで突っ走ってしまいました。
結局妻のゲキリンに触れ、プレゼントは妻に任せていたら買えず・・・・サンタさんから「ちょっと待ってね」というメッセージだけに娘たちはかわいそうでしたが・・・・
もっと、落ち着いて行動していれば、その時注文して娘たちを悲しませることはなかつたのですが・・・・・
決して、サンタさんとお父さんを連想させようなどと思ってもいなかったし、ただただ、娘たちの欲しがる おもちゃを買ってあげたいという気持ちだけだったのですが・・・・・
結果として、妻にとっても娘たちにとっても残念なクリスマスとなってしまいました。
そして、この事件は、私が「子供たちはサンタの存在に気が付いているし、お母さんに子供が合わせて気が付いてないふりをしているだけだ」と私が口にしたことに関して、許せない気持ちでいるようです。
なんだか、よく妻の気持ちを未だに理解できていない私ですが・・・・
まあ、どんなに気を付けていても、私の失敗をあげればきりがありません。
「なんで、人の気持ちがわからないの?」と言われても・・・・・
「そんなの、みんな同じでしょう・・・・あなただって俺の気持ちわかってくれないでしょう」と言うのと同じです。
人の気持ちを大切にしようと思っていても、そんなに完璧に人の気持ちを察することなんてできはしません。
もちろん、人の気持ちを大切にしようという気持ちは大切だし、全然理解していないわけではありません。
ちゃんと、気持ちを察して行動しているつもりですが・・・現実としては行動が伴っていないみたいです。
アスペルガーにとっては、普通の人より自分の意思が先行しがちなため、失敗は多いのかもしれません。
気を付けていても、完璧にこなすことなんて不可能ですし、普通の人よりは視野が狭くなってしまったり
人混みが苦手でイライラしてしまったり、一度失敗してしまうと引きずって平常心に戻るのに時間がかかってしまったりすることもあります。
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アスペルガーとして生きてきたがために、身についてしまった対応方法による失敗
後者のアスペルガーであるために、今まで子供の時からの生き方の中で身についてしまった対応方法による失敗というものがあります。
例えば・・・・・
- 大きな声を出す。
- 突然キレる。
- 人の意見は否定から入る。
- 暴言を吐く。
- 威圧的な態度に出る。
- 無視する。
- 物を投げたり、殴ったりする。
- 意味の分からない屁理屈を言う。
などなど・・・・・
これらは、決してアスペルガーだから全員そうだという特性ではありません。
これらは、子供の時から拘りが強く独自の思想からコミュニケーションをとることが難しく、赤ちゃんの時から泣いたり怒ったりして気持ちを伝えてきたため身についてしまったコミュニケーション手段です。
今だから、発達障害という診断がされるが・・・・私をはじめとするほとんどの人は、そんな「発達障害」なんて存在すら知らなかったわけです。
自分の意見を主張するとき、大きな声を出したり、威圧的な態度によって今まで社会を渡ってきたのです。
もちろん、常にキレているわけではない、アスペルガーなりに社会に順応しながら生きてきたわけで、ちょっと変わった人と言われるくらいの批判しか受けたことがないのだ。
そんな、アスペルガーも家に帰ると、そういう社会的な対応をする必要のない家族に対して、全力で攻撃的になるのだから家族はたまったものではない。
私が、以前・・・・「家でどう家族と接したらいいかわからない」と病院の先生に相談したことがある。
その時、先生は「会社では、理性をもって話をしているでしょう?それと同じことをすればいい」と言われたことがあります。
「そりゃそうだ・・・・・」と思われるかもしれないけれど・・・・
これが、なかなかむずかしいのだ。
アスペルガー的に言うと、
「家に帰ってまで会社にいる時みたいに気を使わないといけないのか・・・・・いったい、俺はいつ気を休めるのだ・・・・・・」
と考えてしまうものです。
普通は、そこまで気を使わなくても家族に対しても、自分の感情をストレートに露出することはないのでしょうね?
アスペルガーだからこそ、人一倍気を使わないとできないのでしょうね?
しかし、時間とともにアスペルガー的行動が自分自身を追い込んでいっていることに気が付く時がきます。
気を遣わず、ストレートに自分の感情をあらわにすることによって、家族の顔が曇り、家庭の雰囲気を悪くして言っていることに気が付きます。
家族にアスペルガーなりに気を遣うことによって、家族も優しくなってくる。笑顔が増えてくる。
私の場合は、とにかく怒らない、暴力を振るわない、苦手なりに話を聞く・・・・
納得いかないこともできる限り否定しない。など気を付けることで、時間とともに家族が優しくなる。
それが、穏やかな生活に結び付いてくるのだと思います。
先に書いたような、暴力的行動はアスペルガーとは関係はない。
あくまで、今までの生き方で身についた間違えたコミュニケーション手段に過ぎないのだ。
これらは、気を付ければ治るものです。
「アスペルガーが治った」というのはこの部分を言うのですが、そうそう簡単に今まで生きてきた行動パターンが治るわけではありません。
根本的に、拘りが強く物事に執着してしまう独特な思想は治るものではないのですから、それに伴った行動パターンは失敗はするけれど薬を使って落ち着いたり
クールダウンの時間を短縮していくことが可能です。
まずは、治せる特性について失敗を減らしていくことが重要だと考えます。
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結論
正直、アスペルガーと言われる人は拘りが強く変わった人です。
だけれど、一番の問題は、拘りを持っていることでなくコミュニケーション能力が低いことです。
でも、コミュニケーション能力は今からでも十分に改善できることなのです。
相手のことを、アスペルガーなりに思いやって、苦手でも話を聞くことです。
理解できなくても肯定することです。
完璧でなくていいんです。心がけて今まで100%相手を否定し続けてきたのなら、
10%肯定して・・・・
30%肯定して・・・・
50%肯定して・・・
60%も肯定できるようになれば、夫婦・家族とうまくやっていけるようになるのではないでしょうか?
自分が認めれば、相手も認めてくれるようになります。
そういった、家族の信頼関係を築けなかったことが一番の問題なのだと思います。
私も、まだまだ失敗はします。
妻からいまだに「やっぱり、あなたとは無理」と言われることだってあります。
でも、私なりにやってダメならそりゃ~仕方のないことです。
だけれど、やっぱりせっかく結婚して子供も生まれ今まで築いた家族です。
「あ~しとけばよかった・・・・こうしとくべきだった・・・・・」と後悔だけはしないように行動するだけです。
「アスペルガーだから失敗することもある」だけれど「アスペルガーでも失敗しない方法もある」ということを知っておくだけでも全然違います。
私にとっては、「もう二度と感情的に怒らない、そして自分だけの考えを押し通さない」それだけです。
そのためには、気持ちを落ち着けるために薬を服用することは大切なことだと感じています。
それでも、ダメだった時は仕方ありません。
間違いなく、3年前の私と今の私は違います。
家族にとっては、それなりに良くなったと思います。反面・・・・丸くなったため強引さが無くなり仕事ではマイナスになった部分も感じます。
だけれど、それはそれ・・・・不器用な生き方しかできませんが今日も家族と笑って過ごせたことに感謝したいと思います。
当事者の方で、頑張っても改善されないと思っている方も多いようですが・・・・・
時間がかかるものです。見返りを期待するのでなく、自分自身を磨いていくことで少しずつ変わって行くものだと思います。
気が付けば、以前に比べれば妻や家族が笑う回数が増えたとか・・・・
怒る回数減ったとか・・・・・
今日は、イライラを我慢できたとか・・・・
今日は、家族の話を否定せず聞けたとか・・・・
今日は、失敗しちゃったけれど明日謝ろうとか・・・
そういった、積み重ねが今のギクシャクした関係を変えるきっかけになるのだと思います。
頭でわかっていても、行動が伴わなければ何もなりません。
焦らず、毎日毎日ひとつひとつ自分自身を見つめなおして日記などに書くことで変わっていくのではないでしょうか?
今回は「アスペルガーは治らない」という概念を少しでも崩せたらいいなぁ~と思います。
完全には治らないでしょうが、できるだけ失敗は減らしていきたいものです。
ついつい、いろいろな失敗を繰り返してしまいがちですが、少しでも失敗を減らそうという気持ち・・・
ちょっと、最近の私はそういう気持ちが薄れていたのかもしれません。
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