数ヶ月前に『アスペルガーの人は、どうして無駄が多いの?』とメールをいただいて、直感的には「そんなことないだろう?どちらかというと効率良く無駄を嫌うよね?」と思いながら、その時もそんな返事を書きました。それから数ヶ月過ごしていました。
『無駄が多い』とメールをいただいてから、なんとなく気にはなっていたのですが・・・・・
確かに、私も息子も無駄の多いことに気が付きました。
しかし、アスペルガーの私達の無駄と、まわりから見ての無駄には、ちょっと違いがある気がして記事にしました。
そんな、私自身の『無駄』な行動について、分析してみたいと思います。
まわりの方から見て『無駄』と思う事柄には、大きく二種類あると思います。
・アスペルガーが複数のイベントをこなす行動
・興味があることにハマる(こだわる)
効率化と無駄
ひとつに、アスペルガーが複数のイベントが発生したときに、優先順位を決め効率化を図ることが苦手なため、全てのことを効率よくこなそうと慌ただしく行動し、ストレスを抱えている気がします。
私自身もテレワークで仕事の効率を上げるため、デイトレーダー並みのディスプレイとパソコンを並べて仕事をしていて、見た人からは「小室哲哉か?」と言われるほどです。確かに小室哲哉も発達障害と思われますし・・・・やっぱり似ていますね?
アイテムの無駄だけでなく、行動の無駄に関しても同じです。集中してひとつの仕事をしているときは調子がいいのですが、そこに別件の仕事が入り込むと、すごく落ち着かずストレスを感じます。
当然、自分なりに優先順位を決めるのですが、やらないといけないことが複数あると気になって気になって、手がつかなくなってしまうのです。
簡単な仕事なら先に片付ければいいのですが、その脱線をきっかけに、次々と脱線して気がつくと、「どれだけの仕事をやっているんだ」ってことはよくあります。
例えば、クライアントから「だいたいでいいから概算でいいからどれくらいかかるか教えて」との依頼に、ザクッとした金額を伝えればいいのに、詳細に積算し提出したりします。
下手すれば、提案書まで作ったりハマってしまいます。
短時間でそこまでやっているので、仕事量は人の何倍にもなってしまいます。
私自身では、効率良くやっているつもりなのですが、まわりから見ると『無駄』と思うかもしれませんね?
沢山のパソコンにディスプレイを買って『無駄』と思う人も多いとは思いますが、私にとっては、仕事や管理用や連絡手段用などと使い分けられて、すっきりと仕事ができるんです。
当然、普通はこんなにお金をかける人は、そうそういないというのはわかっています。
だけれど、私がストレスを感じないように楽しく仕事をするうえで必要な物だと思っています。
でも、この環境になれてしまった今、会社で仕事するとストレスを感じることは間違いありません。
発達障害の息子は、中学3年生で受験勉強をしないといけないのに、無駄に円周率200桁を覚えています。高校の面接で特技で円周率言うらしい・・・・その時間に、英語の単語ひとつでも覚えた方がいいだろうにね?
最近では、落ち着いて運転することを意識しているので、信号が多くても大きな道を通るようにしていますが、本来の私は、最短距離で信号がない細い裏道を好んで走っていました。
スピード違反や一旦停止違反など、ほんとよく罰金ばかり払っていました。
「そんなに、何を急いでいるんだろう」と当時の自分を振り返ります。
料理を作っても、すごく慌ただしく複数作業をしながら作ります。
コンロもレンジもフル稼働です。ケトルで常にお湯を沸かしたりと・・・・
フライパンや鍋やまな板もいっぱいあります。
息子も私も、ドタバタと急いで1階に忘れ物を取りに行って、戻ってきたと思ったら飲み物が欲しくなってまた駆け下りたと思ったら、お菓子も欲しくなりまた駆け下りたりするのが普通の行動です。
どうせ1階に降りるのだから、考えてから降りればいいのですが、急いで問題を解決する行動が染み付いています。
息子は、廊下を曲がるときに、クルリと回って曲がります。当人は早く曲がれると思っているようですが、どう見ても無駄な動きをしているから早く動いている気になっているだけのように思えます。
アスペルガーの人は、自分の価値観や行動を基準に考える人が多いため、こんな行動を『無駄』なんて感じることは少ないです。むしろ多くのことを効率よくこなしていると思っているのかもしれません。
私は、アスペルガーを自覚した当初にアスペルガーはマルチタスクの仕事ができると書きましたが
実質は、ひとつのことしか出来ないから、効率を求めて短時間で複数のことをこなす癖がついているのかもしれませんね。
そういう、行動が判断の早さに結びついているのかもしれません。
確かに私はまわりに、「これくらい(それくらい)ちゃっちゃっとやってしまえばすぐだろう」と口癖のように言って、まわりの人がのろまな奴と思っていいる気がします。
確かに、私自身はこうした行動が成功していることが多く感じています。しかし、まわりの人には『無駄』な行動が多い人に見えているのかもしれません。
確かに、余計に時間がかかっていることや、その行動自身に意味がないことも多いのも確かだと思います。
こういう『無駄』を見直すことも大切だとは思いますが、私自身『無駄』な行動と感じたことはありませんし、直さないといけないという意識は低いです。
でも、そんな行動を見ているまわりは、バタバタと余裕がない行動に息苦しさを感じるかもしれませんね?
そして、ゆとりある行動が、アスペルガーの人にとってもストレスを感じることが減り良い結果を生むこともあるとは思います。
とは言え、常に落ち着いて行動することを意識するのもストレスですしね。
車の運転や遊ぶ時くらいは慌てずに落ち着いて行動することが、少しずつそんな慌ただしい生き方を変えていってくれる気がします。
とは言え、これらの行動パターンをまわりの人が変えようとすることは、少しエゴのような気がします。見ていて息苦しい、無駄が多いので余計なストレスを抱えているように思える。そんな行動をまわりにも求めてしまうという弊害があることは、十分に理解できますが、物事には、良い点と悪い点があり、アスペルガーは、こういった行動の良い部分を活かし生きてきたのです。
趣味などにハマると限度がない
また、『無駄』というと、趣味などにハマると信じられない時間やお金を注ぎ込んだりします。
私の場合は、土日はどんなにきつくても自転車で100km以上、朝から晩まで無意味に乗っています。
音楽を聞きながら、Blutoothイヤホンを10時間くらいしているので、耳の中が汗やらなんやらでボロボロになってしまっています。
「何が楽しいの?」と言われても私もわかりません。なんとなく、クタクタになり何も考えない時間が心地いいのです。もし仕事をしていなかったら日本一周とか行きたいです。
過去に、メールをいただいた方にアスペルガーの旦那さんが、家にいる間ずっとピンセットで髭を抜いてあちらこちら髭だらけで汚いという方もいました。
「なんで?意味あるの?」ってことにハマる人はいます。本を読み出すと「続きは明日」なんて考えられず次の日のことなんて気にせず本を読む人、ロールプレイングゲームが好きで新作が出ると、会社も何日も休んで徹夜でやる人もいます。
私も、ドラマとか大好きで見るのですが、「続きは来週」って言うのが嫌いなので、ビデオを取ってまとめて休みの日に徹夜して見ることが多いです。普段は刑事モノなどが続きがないから特に好きです。
映画やスペシャルドラマで、続きがいつあるかわからないものなどは、特にモヤモヤして嫌いです。
NHKの朝の連ドラだけは、毎日見ていますが・・・・もう、25年間欠かさず見続けています。
よく、「我慢ができない」と言われることが多いですが、間違いではないのですが、途中で止めることがとても苦手なのです。
仮に、翌日のことを考え途中でやめたとしても、気になって眠れないことも多いです。
欲しいものがあると、メーカーや他社製品のことも調べ、何時間もamazonや楽天などを見たりもします。最初は数千円でいいもの見つけたところから始まり、「あと5000円出せば・・・」と上位の物を探し出して数時間立つと、「あと5000円出せば・・・」と更に上位のものを探し出し、永遠と繰り返され、気がついたら数万円の買い物をしていることも多いです。
まわりから見れば、時間もお金ももったいないと思われるかもしれませんが、自分の世界に入り込み楽しんでいるわけではありませんが、そういう行動をとってしまうんです。
アスペルガーの無駄は迷惑?
アスペルガーは『無駄が多い』と、見ていてイライラする人も多いかと思いますが、こだわりが強いアスペルガーにとっては、ある程度は仕方がないことかもしれません。
確かに、欲しい物をすぐ買ったり、拘りすぎてオーバースペックな商品を買ったりと家計を圧迫してしまわれては困ります。
もちろん、影響の大きいものに関しては、考え方を改めていただかないといけないことはあるとは思います。
しかし、時間や行動において、「アホが・・・」で済むことは、勝手にさせてあげることも大切だと思います。例えば、何時間もプラモデルを作って置き場もないくらいに物が増える人もいるでしょう。そこは、ショーケースをひとつだけ買ってそこだけは自由にさせてあげるなど、アスペルガーにも納得いく制限を設けることで回避できることもあるかもしれません。
子供の面倒を見てほしいのに、自分の趣味だけ時間を永遠と使う人も多いでしょう。
釣りが好きで、釣り道具に何万円も払い、エサ代も結構かかるし、休みの日はいつも釣りに行くような人には、子供も連れて行ってもらうなど、妥協点も大切だと思います。出かける前に洗濯だけはしてもらうなど、楽しむ前にお願いすると効果的かもしれません。
「釣りに行ってもいいけれど、帰ってきたらご飯の用意しといてね」などの約束は、守れないことが多いです。もし、魚がいっぱい連れたり、逆に一匹も釣れなかった時、アスペルガーは途中で諦めるということがとても苦手なのです。
旅行やおでかけするときは、予定やイベントをできるだけ減らしておくことです。
「あそこも行って」「ここにも行って」と観光地やアトラクションなどのイベントを用意してしまうと、アスペルガーは、全てを実行しようとするところがあります。やり残すことでモヤモヤした気持ちになることがストレスなのです。その感情を抑えられず旅行先で突然不機嫌になる人もいます。
私も自覚はしていますので、旅行などは早く宿にチェックインして、旅館で楽しむことを心がけていますが、それでも、旅館に到着するなり旅館を探索して、お風呂はそんなに好きでもないのに、全部のお風呂に入り全制覇を目指したりします。
最近はしなくなりましたが、旅館の朝食がバイキングだったりすると、お腹いっぱいでも全制覇を目指して吐く寸前まで食べたりしていました。
それを変えてくれたのは、結婚前に食事に行った女の子で「バイキングはいっぱい食べるところじゃないのよ」と教えてくれた価値観でした。無駄にいっぱいテーブルに持ってきて、あまり美味しくないものでも頑張って食べないといけない状況が多かった私でしたが、少しずつきれいに盛り付け、沢山ある料理から更に選択したものを食べ、美味しければまた食べればいいだけだと、その時知ったのを未だに覚えています。
焼き肉でも、味がわからないほど急いで食べていました。
数年前までは、好きでもないビールを、飲み始めはビールを飲まないといけないと思い込んでいましたね。モバイルバッテリーや充電ケーブルなど、我が家にどれだけあるかわかりません。
通常スマホで4000mA程度ですが、スマホやタブレットをいっぱい持ち歩いている私は30000mAのものを2個鞄に入れてでかけることもあります。10000mAのモバイルバッテリーがあれば、足りないことなんて年間に数回しかないのですがね。
でも落ち着かないんですよ。
考え見れば、出かける用途に合わせて鞄もいっぱい持っていますし、今でも私は、無駄なことばかりやっていますね。
でも、まわりから見れば『無駄』と思われることが、私の安心に結びついている気がします。
『無駄』ってお金の無駄遣いは困ることが多いかもしれませんが、時間の無駄遣いって人それぞれの価値観の違いもあると思うので、定型の方と価値観が違うアスペルガーの無駄な時間は、理解しにくいところもあるかもしれませんが、『無駄』って悪いことばかりでは無い気がします。
アスペルガーは、無駄なことばかりしているように思われるかもしれませんが、様々なことに、こだわりがあるため、他の人とは違う行動をすることが多いので、無駄が多く感じられるかもしれませんが当人たちは、普通に行動しての結果です。